奥田英朗『真夜中のマーチ』

2006/12/18

 もしも、ある場所に10億もの大金が集まる日があるという情報を、事前に得ることができたとしたら。そして、そのお金はヤバイお金で、少なくとも国家権力からの追及を受けずに済むことが分かっていたとしたら。

 ふぅん、お金って、あるところにはあるもんだねぇ、とため息をつくだけか。誰か、その大金を奪いそうな人に話しを持ちかけて、成功した暁には情報料を頂くか。それとも、よっしゃここはいっちょ勝負をかけて強奪してみるか、と立ち上がるか。

 ちなみに、自分はただため息をついて眺めているだけだ。もちろん、それだけではちっとも面白い物語にならないので、本書の主人公たちは、完全犯罪での10億の強奪を目論む。獲物が獲物だけに、事がすんなり運んでも面白いわけがないので、騙されたり妨害されたりで希望が潰えたかと思いきや、ひょんなことから逆転の芽が出てきたり、とスピーディに目まぐるしく展開する。

 下手すると安っぽいドタバタコメディに終わりそうなところを、ユーモアを忘れずに緊迫感を持続させてハラハラドキドキ楽しませ、ハッピー・エンドではないけど微笑ましいラストに決着する、読後感も爽やかで清々しい。

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