浅田次郎『椿山課長の七日間』
- 2006/06/25
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もし、今この瞬間、自分がポックリ逝ってしまったとしたら、果たしてその現実を受け入れることができるだろうか? 到底無理だ。自分は、どちらかといえば聞き分けの良い人間だとは思うが、突然死だけは受け入れられる自信がない。
それはつまり、覚悟と自覚が足りず、ダラダラと無為に時間を過ごしている、ともいえる。
考えてみれば、死の機会は、日常生活に溢れている。事故、病気、事件。たまたま遭う機会が少ないだけで、いつ死んでも不思議はない。だから、本当であれば、いつ死んでも悔いの残らないようにするべきなのだが、現実には難しい。
何とか、心残りを成就できないものか。もし突然死してしまったら、きっとその可能性を探るに違いない。
この『椿山課長の七日間』は、その心残りに囚われ、現世に他人の姿を借りて舞い戻った3人の冒険を描いている。その結果、想像もしていなかった現実を知って、ショックに打ちひしがれたり、きちんと受け止めて乗り越えていく様を、愛情たっぷりにユーモラス、かつ感動的に書き上げている。やり切れない悲しみはもちろんあるのだが、胸が空くようなカッコ良い行動に救われる。
現実に、自分の死後の世界の様子を知るのは、楽しみなような、怖いような、微妙な感じがする。何事もなく流れていたら悲しいし、かといって悲しみに暮れて立ち直れずにいたらそれもまた悲しいし、自分の評価が自分の感覚とかけ離れていたら、やはり悲しい。ライフカードのCMじゃないが、久しぶりの同窓会で思いもよらぬ過去を知るのと、近い感覚かもしれない。世の中、知らないままでいたほうが幸せなこともある。
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