東野圭吾『ゲームの名は誘拐』
- 2005/07/15
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藤木直人、仲間由紀恵が主演した映画『g@me.』の原作。タイトル通り、誘拐を取り扱ったミステリ。東野圭吾の誘拐物は、自分が度忘れしているだけの可能性もあるが、意外にも初めてかも知れない。
誘拐物というと、普通身代金奪取の成否を軸にした、捜査側と犯人側との緊張感に満ちたスリリングな駆け引きの攻防が醍醐味になってくるのだが、さすがは東野圭吾。そんな典型的な誘拐ミステリの型にははまっていない。なんと、犯人の一人称視点のみ。考えることが違う。そしてさらに、それで面白いミステリを書けるところが素晴らしい。
本書の主人公は、敏腕広告プランナー・佐久間。ビッグ・プロジェクトに意気揚々と取り組んでいたが、クライアントの重役・葛城にケチをつけられ、あと一歩のところで潰されてしまう。腹の虫が収まらず葛城邸に出向いた佐久間は、こっそり家出してきた葛城の娘・樹理と出会う。樹理と手を組んだ佐久間は狂言誘拐を企て、身代金3億円の奪取を目論む。佐久間は、ゲームの達人を自称する葛城の鼻を明かすことが出来るのか。
捜査側の視点をあえて描かない特徴そのものがずばりミソであるため、察しのいい読者はすぐに真相を看破してしまうかもしれないが、狂言誘拐の成否がクライマックスと見せて実は…という捻りとオチは見事だと思う。
また、狂言誘拐の計画とその確認への念の入れようも細かく書かれていて、簡単にミステリを書かない著者のこだわりも感じられる。細部まで徹底的に考え抜かれた狂言誘拐を贅沢にも物語のダシにしてしまった極上ミステリ。さすがだね。
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